世界 名著 ランキング

世界文学・名著ランキング【第5位】

フランス人作家のサマセットモームの「月と六ペンス」はゴーギャンをモチーフにした名作小説です。ゴーギャンらしい人物が、普通のサラリーマンから一転、妻子を捨てて偉大な画家になるまでの壮大な物語を繰り広げます。可哀そうなのは、彼を愛して捨てられていく人たち…。人生を捧げて彼を愛する女性たちの苦悩が生生しく描かれており、「なんて酷い男だ」と怒りを覚えて読み進めていたのに、最後に産まれた偉大な芸術を前にして、読者は自分のちっぽけな器に気が付かされてしまうのです。偉大なる芸術の高みを月に。男女の普遍的な愛を6ペンスに例えた、20世紀最高文学と言っても過言ではない最高の小説です。海外文学好きならこれを読まなきゃ始まらない。ぜひ手にとってご覧くださいね。

>>月と六ペンスのあらすじと解説

世界文学・名著ランキング【第4位】

感動的ストーリーと言えば外せないのはイギリスの作家オーウェルです。オーウェルの作品は候補がいくつもあり迷ったのですが、やっぱり知名度の高い代表作の「一九八四年」をランクインさせました。村上春樹さんもオーウェルのファンで、同じようなタイトルの小説を発表していましたね。この本が発表されたのは一九四四年。作中では「一九八四年に第三次世界大戦が起きる」という設定で、当時は未来を書いた小説として話題を呼びました。3つに分断された世界の中で生きる人々が、どんな思想を植え付けられても結局は自由と愛を求めるという普遍的な内容です。動物農場でも一九八四年でも、オーウェルは繰り返し「共産主義に支配された世界の怖さ」を描いているため、米英で大人気の作家です。冷戦下で人が共産主義、社会主義に抱く不穏感をしっかりとキャッチした名作家の作品、ぜひお楽しみください。

世界文学・名著ランキング【第3位】

アメリカの大作家ヘミングウェイの老人と海は、壮大な海の中で繰り広げられる名作です。この作品によりヘミングウェイはノーベル平和賞を受賞したことで、一躍世界に広がりました。同じヘミングウェイの作品の「海流のなかの島々」と共に、海を舞台にした壮大な3部作ともいわれており、その集大成である「老人の海」を読むことで、ヘミングウェイの世界観にどっぷりとつかることができます。老人が一人で海に出て、壮大な海の中で孤独に魚と格闘し、釣り上げた魚をもって浜にヘロヘロで帰ってくるだけの話の中に、なんだってこんなに悲壮な人生の重みを詰め込むことができるんだ…と読んだ後の心の中の重厚な感想に舌を巻くこととなるでしょう。ハードボイルドなヘミングウェイの作品はどれも、男が男として生きる様をカッコよく粋に書きあげており「これぞ男の中の男!」と言う主人公ばかりです。なのにこの老人と海の主人公はヨレヨレの引退寸前のじいさん…。男として生きてきた果ての、あまりにも孤独ななれの果てをまざまざと見せつけられて、「おいおい、人生の結末がこれって悲しすぎるだろ」と酸っぱい気持ちになってしまいます。そんな人間のちっぽけな感想も、丸ごと海に飲み込まれる。そんな作品です。

>>老人と海の考察はこちら

世界文学・名著ランキング【第2位】

ロシア文学の最高峰であるドフトエフスキーの名作「罪と罰」。タイトルの重みは、読み始めてから薄れ始め、やがて軽さを帯びて忘れ去られ、物語の最後にまた「罪と罰」としてのしかかります。犯罪で得た金で善行をすることで、罪が浄化できるのかどうか。ある程度まっとうな倫理観を持った人でさえ、悪人のお金をいいことに使うならいいんじゃない?と思ってしまいそうなこの考えを実践した主人公は、やがて自らの罪の重みに耐えかねて罰を受けることとなります。政治犯としてとらえられていたドフトエフスキーが、シベリア労働の末に(シベリアっていったい何やってんでしょうね。なんでこんなに労働者の掃き溜めになってるんだろう?)故郷に帰り、第一次、第二次大戦の動乱の前に書き上げたこの作品には、当時のロシアの抱える苦境もそのまま描き出されています。戦争には圧倒的に反対しますが、西側諸国に飲み込まれそうになる世界から、何とか祖国の「個性」を守り抜こうとするロシアの在り方は、日本人のそういう思想と共感するところも多く、ロシア文学は日本人にとてもなじみ深いものとなっています。人生で、必ず一度は手に取るべき名作中の名作です。

世界文学・名著ランキング【第1位】

アメリカ建国以来最大の危機とされた南北戦争の舞台となった南アメリカの奴隷制度の中の物語です。奴隷制度の中で生まれ育った白人の心情がリアルに生々しく描かれており、悲惨なはずの奴隷の苦悩が何一つ書かれていないことからも、かなり偏った世界観であると、人種差別主義団体からの批判は多数寄せられている作品。ただ、奴隷無くしては存続できなかった社会の中での、たった一片の「美しさ」だけを切り取ったかのような繊細で大胆な書き方は、一つの文明が失われていく悲しさを、世界中に運んでいることも確か。決して人種差別を容認するわけではありません。「戦争」というこの世の最たる暴力によって、戦争に負けた国の「女」にどんな悲惨なことが起きているのか、一つの文明が崩れ去る悲劇を、リアルに書きだしている大作なのです。人種差別・階級差別・男女差別という、資本主義に存在する3つの差別をしっかりと描き出したという点でも、高い評価を得ています。作家のマーガレットミッチェルは徹底した歴史的背景を元に物語を構成しており、そこに一片の乱れもあってはならないと考えた潔癖症ともいえる作家。風と共に去りぬ以外のすべての自分の書きものを、死ぬ前にすべて破棄しており、この作品が彼女の唯一で最高傑作として残されたのです。5冊もある長編小説ですが、圧倒的読みやすさで見るものを退屈させずに、最後まで一気に読ませる魔力を持った作品。今なお「聖書の次に読まれている小説」として、世界中の女性から圧倒的支持を得ている小説です。

>>風と共に去りぬの考察と感想