同志少女よ、敵を撃て あらすじ

2022年本屋大賞を受賞し、第166回直木賞受賞候補作品となった「同志少女よ、敵を撃て」という小説は、逢坂冬真さんの処女作でもあります。

死ぬほど面白く、一気読みできる読みやすさに加え、2022年に悪夢のように繰り広げられるウクライナ戦争の遺恨が、垣間見える作品です。

「なぜロシアは侵略するのか」

17歳の少女セラフィマが、村を焼いて母を殺された恨みを晴らすために、腕利きのスナイパーへと成長していく物語の水面下で、綿密に調べられた歴史背景が重く迫ってくる名作です。

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同志少女よ、敵を撃て」の評価(わたしの)。
  • 面白さ:5 out of 5 stars (5 / 5)
  • 読みやすさ:5 out of 5 stars (5 / 5)
  • 導入の引きこみ:5 out of 5 stars (5 / 5)
  • 読んだ後の満足感:5 out of 5 stars (5 / 5)
  • 読むのにかかった時間:70分

※ネタバレを含む内容なので、見たくない方はここまでにしてください。

「同志少女よ、敵を撃て」のあらすじ


逢坂冬馬さんの処女作にして最高傑作です。(画像タップでAmazonkindleで読めます)

16歳の少女セラフィマは、ある日母と二人で森に狩りに出かけた。獲物を見つけて狙いを定め、地球が回転を止めたかのような静寂の中、引き金を引いて命を奪う。息をするようにその動作をするセラフィマをみて、母は娘の成長を切なくも喜んだ。

だが、森から村へと帰ったら、村ではドイツ兵が村人を虐殺しており、助けようとした母もどこからかスナイパーに狙い撃ちされ即死。

美しい少女セラフィマは、他の村の女たちと慰み者とされるためにとらえられます。

助けてくれた赤軍の女兵士イリーナは、「戦いたいか?死にたいか?」と問いを投げかけ、セラフィマに軍に入って戦うことを進めますが、未練を断つために母の遺体と思い出の品と家を燃やしてしまいます。

  • 母を撃ったドイツのスナイパー…
  • 思い出の家を焼き払った赤軍の女兵士イリーナ…

2人にいつか復讐を果たすために、セラフィマは一流の狙撃兵となるために、過酷な訓練に身を投じます。

「同志少女よ、敵を撃て」の5つの見どころ

  1. 実在したロシアの女狙撃手が登場する
  2. 現代ウクライナの娘も「コサックの少女」として登場する
  3. ドイツとロシアの第二次世界大戦時の戦いを、臨場感をもって知ることができる
  4. 「女」が兵士として前線に出る「意味」を深く考えさせられる
  5. 「戦争は女の顔をしていない」と、絡めた内容になっている

1:実在したロシアの女狙撃手が登場する

実際に第二次世界大戦で女狙撃手として多くの戦果を挙げたリュミドラ・パヴリチェンコという実在の人物が、物語の登場人物として出てきます。

負傷して前線からは退いたものの、知名度は高いから外交的な役割でアメリカに行ったり、兵士の前で講演会させたりと、終わらぬ兵役に疲弊しています。

「戦争のあと、何をすればいいでしょうか」という質問に「趣味と愛する人をもて」と言い、前線で人を殺した虚無感を抱えて生きる抜け殻のような彼女から、初めて人間味を感じました。

2:現代ウクライナの娘も「コサックの少女」として登場する

物語序盤から登場する、同僚の少女オリガは「コサック」の少女です。コサックとは、今のウクライナ地方の民族の名前。長く虐げられた生活から、両手を縛られても戦える武術を、踊りとして伝統的に伝えている「コサックダンス」は有名ですよね。

長くロシアの支配下に置かれ、何度もドイツやフランスに攻められる戦地となり、生まれた大地を蹂躙され続ける民族の怒りは、同僚のロシア兵に対しても向けられていました。

コサックの名誉を取り戻す。その強い意志を持ったオリガという少女は、強敵相手に立ち向かう今のウクライナの兵士と同じ魂を持つかのように感じられました。

3:ドイツとロシアの第二次世界大戦時の戦いを、臨場感をもって知ることができる

第二次世界大戦で、日本は兵士と民間人を合わせて300万人もの死者を出しました。しかし、ロシアはなんと2700万人の死者を出しているのです。行方不明者も加えると、国の損失は計り知れません。

ロシアの被害はどの国よりも大きく、戦場となったベラルーシ、ウクライナでは、人の血を吸っていない大地などないと言われるほどでした。

1945年、ナチスドイツを破ったのはロシア軍。2700万人もの屍の山の上で、やっと勝利したときの喚起は、今なお5月9日の戦勝記念日に受け継がれています。

第二次世界大戦時でのナチスドイツの進軍はすさまじく、ヨーロッパの大部分に侵略してロシアとも血みどろの戦いを繰り広げていたのです。

特に見どころは一番の戦場であったスターリングラードでの戦い。歴史に名高い戦地として死闘を繰り広げるシーンがリアルに書かれています。バタバタと兵士が死んでいく横で、普通にスターリングラード在住の市民が暮らしていることもまた、リアル過ぎました。

主人公セラフィマの母を殺した仇のスナイパーは、ドイツ人ではあったものの、人間味のあふれる人物でした。そのことがより一層、セラフィマの復讐を苦しく見守ることとなるのです。

4:「女」が兵士として前線に出る「意味」を深く考えさせられる

物語の最後でセラフィマは「ある敵」に対して「同志少女よ、敵を撃て」と自分自身を鼓舞して、撃つシーンがあります。

セラフィマの本当の敵は、私たちが考える「敵」とは違い、ラストでハッとさせられます。

セラフィマの一撃は、戦いに身を投じる全ての人の心に巣くう「野獣」を撃ち抜き、それは本を読んでいるだけの現代を生きる我々の心をも貫く弾丸でした。

5:「戦争は女の顔をしていない」と、絡めた内容になっている

戦後ロシアで活躍した女性兵士は、生き場もなく肩身を狭くして生きていくこととなります。物語のラストでそこにインタビューに来る女性記者はなんと「戦争は女の顔をしていない」の作者であるスヴェトラーナ・アレクシエーヴィッチでした。

>>2022年本当に面白かった本・ベスト5の記事にも書きました。

「戦争は女の顔をしていない」はロシアの元女性兵士にインタビューして回った女性記者の手記です。500人ものインタビューをした結果、浮かんでくる戦争の悲劇は、男とは違う視点でとても興味深かったです。

同志少女よ、敵を撃て、まとめ

この本を読んでいるときに、まさかの「ロシアがウクライナに侵攻」のニュースが流れたのを、生きている限り忘れることはないでしょう。

私もGHQによって奪われた日本の文化や歴史を想い、現代の日本人のアメリカにすり寄る情けなさを悔しく思うことがあります。

イギリス人記者のヘンリーストークスの本など読んでいると、アジアで唯一自立していた最後の国日本が、アジア人を奴隷化していた白人至上主義国と肩を並べるまで成長し、負けて敗戦国となる悔しさを感じることはあります。

何度もヨーロッパからの進軍で蹂躙され続けてきたロシアもまた、悔しさを胸に国民に重税を課し、軍を強くして、祖国を再び取り戻そうとしているのかと思うと、自分が抱える小さな「悔しさ」は耐え忍んで墓まで持っていき、次の世代には「平和」を残さねばと強く思いました。

2022年で一番おすすめの本なので、ぜひ読んでみてください。

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