芥川賞を選ぶ【基準】【傾向】はこれ!直木賞との違いとおすすめ10選も

日本を代表する文学賞の一つである芥川賞。

蓮

他にも直木賞や本屋大賞、このミステリーがスゴイなど、本選びの参考になる賞もあります。

芥川賞には、選ぶ基準や傾向はあるのでしょうか?また、直木賞と似てる感じだけど何が違うの?

と疑問に思ったので、調べてまとめてみました。

私は芥川賞が好きで、次に読む本選びの参考にしていますが、さすがに昭和初期の作品などは気が引けて読んでいないものが多いです。

そこで今回は、こちらの本を読んで参考にさせていただきました。歴代芥川賞の作品を全部網羅しているため、すごく参考になりますよ。(画像クリックでAmazonkindleで割安で読めます^^)

芥川賞の特徴&直木賞との違い

芥川賞は、1935年スタートです。直木三十五の死後、作家である文塾春就社の社長である菊池寛が、大衆文芸の新人に送る直木賞、純文学の新人に送る芥川賞を創設しました。

芥川賞と直木賞は同じタイミングで産まれ、以下のような特徴の違いがあります。

芥川賞と直木賞の違い
  • 芥川賞…中短編の純文学の新人に贈る賞
  • 直木賞…長編のエンタメ的な大衆文芸の新人に贈る賞

どちらも「新人」とありますが、ベテラン作家さんが選ばれることもあるため、新人や若さに必ずしもこだわるわけじゃないみたいですね。

蓮

度々文句が出ますがw

芥川賞の最年少受賞者は

2004年の芥川賞受賞作品の「蹴りたい背中」の作者は、当時19歳の大学生綿矢りささんでした。同時に受賞した金原ひとみさんも、当時20歳で、若い2人が受賞したと話題になりましたね。

芥川賞の最年長受賞者は

2012年下半期に「abサンゴ」で黒田夏子さんが、当時75歳で受賞しました。「生きているうちに見つけてくれてありがとう」と、受賞会場でコメントしたことは話題を呼びましたね。「abサンゴ」は横書きでひらがなが多めの作品で、ゆっくりじっくりと日本語と向き合う重みのある作品でした。

19歳から75歳まで、芥川賞は選ぶ作品にも挑戦をし続けているのだと感じますよね。

芥川賞どうやって選ぶ?

芥川賞と直木賞 どっちが読みやすい

これもよく聞かれる質問ですが、私は芥川賞のほうが、直木賞よりははるかに読みやすいと感じます。単純に、芥川賞は短いからですね。短編が多いので、スグに読み終わっちゃうんですよ。心に残る作品は?と言われると、それこそ賞に関係なく、残る作品は残ります。

芥川賞、歴代のおすすめ10選

まず、年代が古すぎて最近の人には読むのが難しいかもしれないけど、私なりのおすすめ作品を紹介しますね。

1:「平賀源内」1940年

1940年下半期、第12回芥川賞を受賞した「平賀源内」。史実では獄死したとされている平賀源内が、実は生きていて別人として生きたという作品です。医学で有名な杉田玄白も登場します。平賀源内は日本のダビンチと言われる天才で、歴史上の人物の中でも人気が高いですよね。史実とは違う結末を楽しむことができます。

2:「飼育」1958年

1958年の受賞作品、大江健三郎さんの「飼育」は、第二次世界大戦の渦中の日本の物語です。不時着したアメリカの飛行機にいた黒人兵を、小さな村の小屋で拘束し続ける話ですが、初めて見る自分たちとは違うタイプの人間に対して、興味津々の子どもたちが臨場感もって書かれています。次第に仲良くなっていくのも、ほのぼのしてて戦時中でも人と人は分かり合えるという面白さがありました。

3:「夜と霧の隅で」1960年

1960年上半期の、北杜夫さんの「夜と霧の隅で」は、戦時中のナチスドイツの渦中にいる日本人の物語です。戦争中にヒトラーが発した、反ナチス的な人間を強制収容する「夜と霧」作戦というものがありました。その命令が発せられた渦中のストーリーなので、緊迫感があり、勢いで読み進めることができました。

4:「砧(きぬた)をうつ女」1971年

1971年下半期、第66回芥川賞を受賞したのは、「砧(きぬた)をうつ女」です。作者は李 恢成(い ふぇそん)というサハリン出身の在日朝鮮人で、在日朝鮮人で初めて芥川賞を受賞しました。砧(きぬた)とは、布を柔らかくするために打つ道具のことです。主人公の少年が、亡き母を思い出す作品ですが、朝鮮やサハリンの文化が見え隠れして、日本人の作品とは違う趣があり面白かったです。ただ、戦時中に日本が踏みにじってきた精神を文学として読むため、胃が重く感じられます。

5:「石の来歴」1993年

1993年の受賞者は、奥泉光(おくいずみひかる)さんの「石の来歴」です。戦時中に石に興味を持った男の半生を描いており、文章力が巧みなので、内容にぐいぐい引き込まれて行きます。この作家さんは「吾輩は猫である、殺人事件」という夏目漱石の作品を用いたミステリー小説も書いており、私はそっちから入りました。

6:「猛スピードで母は」2001年

2001年は、長嶋有さんの「猛スピードで母は」という作品が受賞しました。タイトルも表紙の絵も奇抜で面白く、私が人生で初めて読んだ芥川賞受賞作品でした。「芥川賞ってこんなに面白いのか!よし、他の受賞作品も読んでみよう!」と思えて、とても面白かったです。個性の強いシンママの息子は苦労するなぁと思って読んでいたけど、今読み返すと、母から息子への愛情もよくよく垣間見える、暖かい物語です。猛スピードで車を走らせた母の方の気持ちがわかってしまう年代になってしまいました(笑)ひとり親のかたにおすすめです。

7:「ひとり日和」2006年

2006年は、青山七恵さんの「ひとり日和」です。20歳と71歳の独身女性が同居するという、現代っぽい面白い内容でした。20歳の守りに入った女性に比べて、自由奔放な71歳の吟子さんが本当に素敵です。

8:「時が滲む朝」2008年

2008年の楊逸(やんいー)さんの「時が滲む朝」は、日本語を母語としない初の受賞作品でした。中国の民主活動を舞台としているので、普段耳に入ってこない中国の実情を垣間見れて、歴史作品としてとても面白かったです!

9:「コンビニ人間」2016年

2016年の村田沙耶香さんの「コンビニ人間」は、ASDと診断されたことのある私にとってはものすごく胸に来る作品でした。コンビニでバイトを始めて、その歯車にカチッとハマる、おそらく何らかの発達障害を抱えている女性が主人公の作品です。

10:「推し、燃ゆ」2020年

2020年の宇佐見りんさんの「推し、燃ゆ」は、推しという言葉に馴染みのない、私の世代からすると、タイトルだけ見て「う」と敬遠しがちです。けど、芥川賞だし、今の若者の気持ちがわかるかも?くらいの軽い気持ちで手に取って読み始めて、こんなに不可解な感動を得られるとは思わなかった!という衝撃を受けました。現代の若者の深すぎる病みや苦しみを、見事に言語化した最高の作品です。

芥川賞、おすすめ10選ランキング【まとめ】

いかがでしたでしょうか。

古すぎる作品は、読みにくい文体のものも多いのですが、中でも読みやすいものをピックアップしました。ランキングにはいれませんでしたが、又吉さんの「火花」もスラスラと読みやすくて面白かったです。芸人さんのアイデンティティが真剣に書かれた感じで、一般人にはなじみがない主題でしたが、大好きな芸人さんの抱える苦労を身近に感じられました。

次は直木賞や本屋大賞、このミス大賞も制覇して、ランキング作ってみますね。最後まで読んでくれてありがとうございました。