フラニーとズーイ あらすじ

フラニーとズーイはサリンジャーの代表作の一つです。

世界では「ライ麦畑でつかまえて」に次いで名の知られている作品と言っていいでしょう。

しかし…

読んでみるとわかるのですが、ライ麦畑同様に、「だから何が言いたいの?」と思っちゃう作品でもあります。

サリンジャーさんはこんなんばっかかよw

ライ麦畑につかまえてのファンである私が、フラニーとズーイのあらすじと感想を紹介するので、意味が分からない方は参考にしてください。

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あくまでも個人的な解釈なので、正解!間違い!などではないことをご了承くださいね。

※作品のネタバレを含むのでご注意くださいね。

私はひとり親で、父役母役を1人でやってるフルワーカー。

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フラニーとズーイ、登場人物

  • フラニー…グラース家の末っ子の美人女子大生。19歳で繊細な神経の持ち主。亡くなった兄シーモアを慕っており、気持ちが弱った時に会いたいと懇願する。
  • ズーイ…グラース家の下から2番目の男の子。
  • レーン…フラニーのボーイフレンドの大学生。
  • シーモア…グラース家の最年長の兄で、他界している。末っ子のフラニーとは18歳差がある。
  • バディ…グラース家の次男で、フラニーとズーイのことを心配する優しい兄。
  • ミセス・ベッシ―・グラス…グラース家の7人兄弟の母。フラニーのことを心配してズーイに相談するが、迷走した小言にうんざりされる。
グラース家とは?

サリンジャーが「バナナフィッシュにうってつけの日」という小説で、シーモア・グラースという男性を主人公にした話を書きました。それ以降「当然みなさんご存じの、あのグラース家の一員の…」という感じで、サリンジャーの小説にどんどん、グラース家の人物が登場してきます。

「え…知らんけど」と思い読み始めると、「あれ?シーモアってあのシーモア?」のように、ぼんやりと思いだすことができます笑。「フラニーとズーイ」も冒頭から急に「皆さんご存じのグラース家のフラニーです」的に出てきますが、「え?何この子、有名な子?レーンとどっちが主人公?」と訳が分からないところから始まります。

グラース家は「バナナフィッシュにうってつけの日」「コネティカットのひょこひょこおじさん」「小舟のほとりで」「フラニーとゾーイー」「大工よ、屋根の梁を高く上げよ シーモア-序章-」「ハプワース16、一九二四」に出てきます。7人兄弟なので、色んな小説に違う兄弟が出てきたりするので、ひとくくりで「グラース家」と覚えておくといいですよ。

フラニーとズーイ、あらすじ

フラニーは神経が衰弱している19歳の女の子です。彼氏のレーンと年相応のデートをしますが、全く集中できず…。彼氏のレーンの方は、美人でスタイルのいいフラニーを連れ歩けて満足そうだけど、全然話を聞いてくれず、ものも食べず、口をひらけば電波ちゃん的なことを言い出すフラニーに当惑します。

フラニーは知識をひけらかすレーンにも、周囲の人たちにも不信感が募りますが、自分の悩みの本質も見抜けず、宗教的な力に救いを求めます。結局は虚弱と神経衰弱で倒れてしまい、母と兄のいる実家に帰ります。

フラニーはグラース家の7人兄弟の末っ子女子。すぐ上の兄のズーイと並んで「超絶美形兄妹」として知られていました。

母のベッシ―はフラニーの神経衰弱を心配して、すぐ上の兄のズーイに相談します。

ズーイは母をうとましく思いながらも、妹のフラニーを心配して言葉をかけます。しかし兄のうがった言い方に、フラニーはかえってイライラしてしまいます。

ズーイは独立した兄のバディのふりをしてフラニーに電話し、彼女が立ち直るように必死で言葉をつなぎます。フラニーが逃げ込もうとしている宗教に絡めて、フラニーに「インチキに見えるこの世界で、演じながら生きていかねばならないのだ」と伝えます。兄の想いをくみ取って、フラニーにはようやく笑顔が戻りました。

フラニーとズーイ、感想と「読み解くポイント」

サリンジャーの小説あるあるなのですが…。

結局何が言いたいの?

とよみ終わった後に「?」がきます。

フラニーが悩んでて、それを妹想いの兄ズーイが支えてあげる。という、これだけの話なんですよね、要は笑。

私なりに「フラニーとズーイ」を見て、読み解くポイントを考えてみました。

フラニーは宗教にハマってる

フラニーがずっと宗教本を握りしめていて、自分の持つ悩みの答えを宗教の中に求めています。

フラニーを立ち直らせたいズーイは、宗教にからめてフラニーを説得します。

周囲の人ばかりを見ていると「インチキ」ばかりに見えるから、「キリスト」を意識して生きることで、自ら命を絶たずに生きていられると思ったからです。

自分への愛にあふれている「兄」や「キリスト」を想って生きていけばいいのだと聞いて、フラニーはやっと笑顔を取り戻します。

人生が辛かろうが、宗教や家族の愛に希望を見出して生き抜いてほしいという兄の願いですね。

「ライ麦畑でつかまえて」の主人公と同じ悩み

「フラニーとズーイ」に出てくるフラニーは、「ライ麦畑でつかまえて」のホールデンと同じような悩みを抱えています。

周囲全てが金銭や権力に価値をおいていて「インチキ」にみえ、自分はそこに属していたくないので、宗教的な純粋な精神世界に逃げ込みたいと願っているのです。

ライ麦畑のホールデンが「ライ麦畑」に逃げ込みたがっていたのと同じです。

「ライ麦畑でつかまえて」はなぜ人気?「母」だからわかるあらすじ&解説

グラース家の兄弟に共通する性質

グラース家全体をおおう、精神的な悩みは、生まれ持ったものなのかもしれません。

そしてそれを、母のベッシ―は全く理解していないにも関わらず、兄弟たちは不思議な理解を相互でし合っています。

今回手紙でしか登場しなかったバディも、ズーイやフラニーの特性をよく見抜いてるなぁと感心します。

蓮

外側から小説を読んでるだけの私にはさっぱりわからんのに…

死んだ長兄のシーモアへの思慕が、残された兄妹にも同じ思いを落としているようにも見えます。

太ったおばさんって誰?

なんとかフラニーを立ち直らせたいズーイは、考えを巡らせます。

そして死んだ兄、シーモアの残した本をヒントに、フラニーに「太ったおばさん」を思い出させます。

かつて、長兄シーモアが生きていた時に、ズーイにもフラニーにも「太ったおばさんのために演じるんだ」と兄が言ったことを思い出させるんです。

太ったおばさんってなんのこっちゃ?

と思いますよね。

ズーイは太っちょのオバサマのことを「キリスト」と言います。

そして、「客席にいるすべての人は太ったおばさん」なのだと。

それを聞いて、兄のシーモアのことを思い出してフラニーもやっと微笑んで平静な心を取り戻すんです。

なんで?

と思いますよね…。

これはグラース家の兄弟に共通する思い出を通して、人生そのものを、いつも「太ったおばさん」にお見せする演技として、演じ続けるのだということだと思います。

そして太ったおばさんは、心の清いキリストなのだと。

神様がいつも見ていらっしゃるから、生きている間は一所懸命神様にお見せしても恥じないよう生き抜くのだ、と言ってるのだと思います。

フラニーが握りしめている宗教本をみて、宗教に絡めて生きる説得をしたんですね。

蓮

わからんけどw

ズーイの説得でフラニーは、兄シーモアのことを思い出し、そしてシーモアの言葉通りにキリストを想って生きていけばいいのだと考え、笑顔が戻ったのだと思います。

何よりも、兄シーモアの言葉を思い出させてくれ、キリストの存在を身近に感じさせてくれた兄のズーイの愛を感じて、気持ちが温か家くなったのだと思います。

感想まとめ

「フラニーとズーイ」はサリンジャーの小説の中でも、最も意味が分からない小説でしたが、それでも「すごい!」と思うのはサリンジャーの「読ませる力」です。

なんか読んじゃうんですよね。

そして、人間の心の内には、自分でも意識したことのなかった大きな宇宙が存在するのだと知ります。

それを知ってフラニーのようにこんなにも思い悩むくらいなら、自分の中の宇宙など知らぬまま生きていく方がよほどましだと思ってしまいます。

けどそれに対するズーイの心配する感じはすごく好感が持てます。

ハンサムでスマートで頭がいいズーイは、能力が高すぎて世間を斜に見る感じがしますが、フラニーに対してだけは「一生懸命」なんですよ。

その「妹想い」の雰囲気はすごく伝わってきて、ほっこりします。

最後に妹のフラニーが「微笑んだ」というところで、読み手も「兄の想いがつたわったんだ」とホッとします。

グラース家の兄弟に共通する心の悩みは、同じ兄弟の「悩みを理解しているよ、そのうえで、君に元気になってほしいんだ」という「理解と愛情」によって救われるんですね。

末っ子って常に自分本位で、周囲が自分のために頑張ってくれて当然、と思う傾向にあるんだよな、とフラニーを見ていて思いました。

蓮

私も3兄弟の末っ子です笑

最後まで読んだ一番の感想は「グラース家、顔面偏差値高すぎ・・」です笑

さいごに

すみません、あらすじ感想の記事をいくつか書いてきましたが、サリンジャーは中でも一番難しいし、サリンジャーの中でも「フラニーとズーイ」は最も意味を解説しにくいので、いつもよりも熱量が少なくなってしまいました。

けど、「?」は多いながらも読み進めやすかったので、サリンジャーに興味のある方はおすすめです。

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