世界的に有名な「あしながおじさん」だけど、実は読んだことないって方も多いんじゃないでしょうか?
素朴なストーリーだけど、作品内容のほとんどが「女の子の手紙」で書かれているというのも、読む気力を失う理由かもしれませんね。
そこで今回は、名作あしながおじさんの本のあらすじを簡単に紹介いたします。
動画で内容が忠実なものも紹介していくので、参考にしてください。
この記事はネタバレが多く含まれるので、見たくない人はここまでですよ!
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- 面白さ: (4.5 / 5)
- 読みやすさ: (5 / 5)
- 導入の引きこみ: (5 / 5)
- 読んだ後の満足感: (4 / 5)
- 読むのにかかった時間:20分
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「あしながおじさん」について
あしながおじさんを書いたのは、ジーン・ウェブスターという作家さん。1912年という時代に出版された本なのに、現代でも違和感なく読める「おしゃれな」作品と言えます。
作中に出てくる挿絵もすべて作者の手書きであるという点もユニークですね。
挿絵はけっして上手ではないけど、素朴で精密でイメージを掻き立てます。
農場や孤児院、寄宿学校の描写がアメリカンな雰囲気なので、日本で読む私たちにとって「自分たちの周囲にないイメージの世界の環境」という点で、時代も国も違和感なく受け入れられるのだと思います。
39歳で産後の熱により亡くなった作者の名作をひも解いていきましょう。
「あしながおじさん」キャスト一覧
- ジェルシャー・アボット(ジュディ)…物語の主人公。孤児院で高校まで過ごし、あしながおじさんの援助によって大学進学して未来を開いた女の子。空想家で文才に長けている。
- あしながおじさん…ジュディの作文を見て才能を見出し、進学金の援助をしてくれる裕福な男性。正体が謎に包まれている。
- サリー・マクブライド…ジュディと同じ学校の親友で心優しい女の子。
- ジュリア・ペンドルトン…ジュディの同級生の裕福な女の子で、サリーとは対極に裕福を鼻にかけている高飛車な女の子。
- ジャービス・ペンドルトン…級友ジュリアの叔父で、度々学校や農園を訪れて、ジュディに親切にしてくれる青年男性。
「あしながおじさん」あらすじネタバレ
孤児院を出て進学!
孤児院で育ったジュディは、孤児院を出る年齢に院長から進学を進められる。ジュディの作文を見て進学援助してくれる裕福な男性がいるということだった。
進学の道を選んだジュディは、姿も知らない男性の、唯一垣間見た後ろ姿の様子が脚が長かったことから「あしながおじさん」と呼び、毎週のように手紙を書いて感謝の気持ちや学校生活の様子を知らせ始める。
ジュディの文才
「あしながおじさん」のストーリーのほとんどジュディからあしながおじさんにあてた手紙であり、手紙の内容からジュディの様子が垣間見える文才に満ち溢れているジュディの優秀さが垣間見える。
同年代少女たちとの3年間の学校生活
自分の貧困を笑う級友も多数いる中、同室で心優しいサリーと友情をはぐくみ、あしながおじさんからの行き届いた支援に感謝し、ひたむきに学生生活を送るジュディ。
1年目は同級生のからかいや、自分の「孤児院出身を隠す」ことと、自分と同世代の女の子たちへの気おくれが詳細に書かれています。
2年目に「自分の出自を隠すこと」に長けてきて、やっと普通の年ごとの女の子として過ごしつつも、ニューヨークや裕福なレストランでのふるまいなどで、異質さが垣間見えることがあります。
3年目、最終学歴の時には、奨学金をもらうことや、学業を終えた後のこと。そして、ジュディが聞かざると「美しい女性」であることが浮き彫りになる内容です。
3年間の手紙を通して伝わってくる、級友の叔父のジャービスさんへの淡い想いが、徐々に恋へと実っていくことがわかります。
ジャービスさんとの恋
そしてクライマックスで、ジャービーさんからの求婚を断って、ジュディ自身もとても傷ついていると書かれています。
求婚を断った理由は「自分が孤児院の出自だから」というもの。どうしても知られたくないというジュディの苦悩があしながおじさんあての手紙で書かれています。
いままで頑なに会おうとしなかったあしながおじさんが、ついに「会う」と言ってくれ、会いに行くジュディ。
あしながおじさんの正体
会いに行った先には、ジュディに求婚を断られて傷心で身体を壊したジャービスさんがいて「可愛いジュディ。僕があしながおじさんだとは思わなかったのかい?」と、自分があしながおじさんであることを打ち明ける。
さいごのジュディからあしながおじさんへの手紙は…
あしながおじさんこと、ジャービスさんへの人生初のラブレターとして書かれていた。
「あしながおじさん」の感想と見どころ紹介
「ジェーン・エア」について書かれている
19世紀イギリスの名作ジェーン・エアを、「あしながおじさん」の主人公ジュディが読んだ感想が、おじさんへの手紙に綴られています。
ジェーン・エアの主人公ジェーンもまた孤児院育ちで、孤児院の中で教師から酷い辱めを受けます。
それに対してジュディの怒りや憎しみがしっかりとかきだされ、孤児院の中で育ったものとしての感情が垣間見える瞬間です。
イギリス田舎とアメリカという隔たれた環境で書かれた2つの作品に共通する点が多いことが面白いと感じました。
- 主人公の孤児院育ち
- 作者が女性であること
- 田舎の農園や情景の舞台描写が鮮明であること
- どちらの主人公も裕福な家柄の紳士からの援助を受けている
- どちらの作者も40歳を目前にして亡くなっている
- 1912年…あしながおじさん
- 1847年…ジェーン・エア
あしながおじさんの主人公ジュディは、シャーロットブロンテや、嵐が丘のエミリーブロンテ姉妹に対して敬意をあらわしていて、ジュディもまた文才溢れる少女なので、女流作家としての道を登る片鱗としても、いいチョイスだなぁと思いました。
「宝島」やシェイクスピアについて書かれている
ジェーン・エアの他にも、宝島やシェイクスピアの作品についてもジュディは読んでおり、学校生活の中で確実に好奇心を追及していることがわかります。
また、1912年という未知の年代だけど、私たちも知る名作がすでに存在していたという事実も、身近に感じるきっかけになりますね。
あしながおじさんが正体を隠していた理由
あしながおじさんはなぜ正体を隠していたのか?
この記事を書くにあたってもう一度作品を読みなおしてみたけど具体的な理由は書かれていません。
ジュディの本音をこっそり聞いて楽しんでいたとか、
面白がっていたとか、
そういうことではないような気がします。
作品を読みなおして感じたのは…
- あしながおじさんはジュディへの資金援助は、他の子たちへの資金援助と同じように、「裕福なものの義務」としてビジネスライクにおこなっていた。
- ⇒しかし、毎週送られてくるジュディの手紙で、ジュディに興味を持って、軽い気持ちで会いに行った。
- ⇒ジュディが可愛くて魅力的な女性だった。
- ⇒ジュディが孤児院出身を、級友にも誰にも恥じて隠していたい気持ちを知った。
- ⇒孤児院出身であることを恥じないでいられる人間に成長してから、正体を伝えようと思っていた。
- ⇒だが、最後に求婚した時にも、やはり孤児院出身を恥じて、結婚を断ってきた。
- ⇒だから、ついに、正体をばらした。
こんな感じかな~と思いました。ジュディが書いてくる手紙を面白がって受け取っている感じではなさそうなんですよ。
好きな女性の本心を赤裸々に知ることは興味があったかもしれないけど、いたずら心で隠していたというよりは、ジュディの気持ちを思いやって、年配の「あしながおじさん」に徹していたのだと思います。
ジュディが孤児院出身を隠したがっていたから。
「あしながおじさん」を動画やアニメで見るなら?
あしながおじさんは、昔放送していた「世界アニメ劇場」で1990年に放送されていました。
※動画配信サービスの内容は日々入れ替わっております。登録前に作品が放送しているか、必ず確認してくださいね。上記は2019年11月の内容です。
映画は古いものしかない?ような気がします。
舞台とかはあるみたいですが、なんとなくの内容は世間に浸透している有名作なので、時代ごとに何度も何度も演じられていますよね。
あしながおじさんと「キャンディ・キャンディ」
1970年代のなかよしで連載されていたキャンディキャンディという漫画は、あしながおじさんの内容にそっくりでした。
孤児のキャンディが引き取られた家でひどい目にあい、一族の男性が彼女を養女として引き取り、正体を隠して側で見守り続けるという内容です。
爆発的な人気が出たゆえに、原作家と作画家の利権争いで現在放送はされていませんが、アニメもやっていました。マンガなら今でも読むことができます。
さいごに
名作中の名作なのは、あしながおじさんの「行為」ゆえだと思うんですよ。
孤児院の身寄りのない少女に学資援助をしたという行為から、慈善事業の募金名などに「あしながおじさん募金」など名前が使われるのはよくあること。
更に、慈善活動から「シンデレラストーリー」につながったことも人気の所以ですね。
ジュディが心正直で堅実な女性であったことと、ジャービスがユニークで愛すべき若者であったことからも、2人はお似合いの「年相応な」カップルです。
誰もが夢見るシンデレラストーリーが、素朴な女の子の手紙として紹介されている名作「あしながおじさん」を、是非一度手に取って読んでみてください。