クリスマスになると読みたくなるディケンズのクリスマスカロルのあらすじと感想をまとめてみました。
クリスマスカロルの翻訳者は、村岡花子さんです。
朝の連続テレビ小説で「花子とアン」というタイトルで放送されていた、「赤毛のアン」の普及者として有名なあの花子さんです。
♬絢香『にじいろ🌈』
連続テレビ小説『花子とアン』主題歌 #annm10 pic.twitter.com/9dN6zcDvZ3— 匿名探偵 (@tokumei2856) August 26, 2021
新潮文庫の巻末には村岡花子さんご本人のあとがきもあり、テレビでファンになった方には嬉しいポイントです。
この記事はネタバレを含むことと、あくまでも個人的感想であることをご了承ください。
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クリスマスカロルのあらすじ
物語はクリスマスの当日から始まります。
ケチで有名なスクルージという老人が主人公。
誰もが浮かれるクリスマスですが、スクルージは「ばかばかしい」と祝おうとしません。
金持ちのスクルージのところには、恵まれない人々への寄付の願いなども来ますが「死にたい奴らはしなせたらいいさ。そうして余計な人口を減らすんだな。」と冷たく突き放します。
「救済院がいっぱいなら、監獄に入れればいい」とひどい言葉を言います。
事務員のボブに対しても「クリスマスだからと浮かれるな。
明日はしっかりと出勤しろ」ときつく当たります。
優しい甥っ子がクリスマスパーティーに誘いに来ても突き放し、スクルージはさっさと家に帰って一人で過ごします。
すると、かつて一緒に仕事をしていたマーレイが、幽霊として現れます。
鎖でがんじがらめのマーレイの幽霊は「お前も人のために生きないと、死んだ後に私のように鎖でつながれるぞ」と忠告に来たのです。
その後、スクルージは過去、現在、未来の3人の幽霊に会います。
「過去のクリスマスの幽霊」は、スクルージの恵まれない子供時代を見せてくれます。
スクルージは孤独な子ども時代を過ごした後、心優しい小さな妹とクリスマスを祝う過去を見て、体が弱く心優しい妹のことを思い出します。
そして、死んだ妹の残した、気立てのいい甥っ子に、冷たく当たったことを思い出します。
更に、経済的な都合で別れた昔の彼女を見ます。彼女は今、美しい娘と多くの子どもたちと、優しい夫と過ごしていることを知って、自分の孤独を思い知って胸を痛めます。
「現在のクリスマスの幽霊」には、安月給でこき使っている事務員のボブの家を見せられます。
絵にかいたような貧困の家庭の中でも、家族みんなで愛し合い、支え合う様子を目にします。
そこには松葉杖をついたティムという少年がいました。
体の弱いティムを家族全員で気遣いますが、「クリスマスの幽霊」は「ティムはもうすぐ死ぬだろう」と言います。
「なんとかティムを生きさせてください。」と頼むと、「余計な人口が減るだけだ」と、スクルージ自身のはいた言葉で返されてしまいます。
最後に「未来のクリスマスの幽霊」が出てきます。
物も言わない幽霊は、今までの中でも一番恐ろしく感じられました。
そして、スクルージは自分の死後、誰も悲しんでいない様子を淡々と見せつけられます。
ボブの息子の小さなティムも、亡くなっていました。
自分が如何にひどい心の持ち主であったかを思い出し、スクルージは改心します。
目を覚ますと、それはクリスマスの朝でした。
もう一度クリスマスを過ごし直せることを、スクルージは幽霊にとても感謝します。
そして大きな七面鳥をボブに送り、恵まれない子供たちのための救済院に多額の寄付をして、愛すべき甥っ子の家に出かけます。
心を入れ替えたスクルージを、周囲の人々は愛するようになり、素晴らしい残りの人生を過ごしたのでした。
クリスマスカロルの感想
何度読んでも素晴らしい話で、クリスマスには何度でも読みたくなります。
クリスマスカロルは、自分の人生を客観的に見つめることで、人生を変えた老人の話です。
クライマックスのスクルージのはしゃぎっぷりは、読んでいても鼻歌が聞こえそうなくらい、うきうきするものでした。
スクルージが守銭奴になった理由
たった一人で本を読んで過ごした、寂しい子ども時代のスクルージは、可哀想で胸が痛みます。
鬼のように恐ろしい寄宿学校に囚われていた学生時代…。多分校長先生が怖くて委縮していたんですね。
そこに迎えに来た小さな妹のファンに心温まりますよね。
こんなスクルージでも、無条件の愛情を受けた経験があってよかったです。
しかし「お父様が、お兄さんを家に呼んでもいいっていったの!」という妹のセリフに、スクルージの家庭の複雑さを感じます。
多分だけど…
スクルージの母親が死んで、新しい後妻さんが来て妹が生まれて、スクルージは寄宿学校にいれられたんじゃないかな~?
だから妹とは年が離れていて、別居してたのかな?と思いました。
お金がなくて恋人に別れを告げるシーンも切なすぎる…。
しかもその後、元恋人が別の人と結婚して子だくさんになっている様子を見なきゃいけないとか地獄。
母親そっくりの美しい娘が自分の娘だったらなぁ…なんて切ない…。
読んでいて胸が痛みました。
スクルージが業突く張りの偏屈老人になった理由は明白です。
彼自信が愛を教わってこなかったのだから、無理もないと思えてしまうんです。
境遇がスクルージを偏屈にしたんですね。
けど、クリスマスカロルの解説者たちがいうように、スクルージが仕事上ではフェアで立派な人物だったというのも当たっていると思います。
じゃないと長年商売を続けることはできないだろうし。
仕事一本に打ち込んできて、家庭の温かみに触れてこなかっただけなんですよね。
幽霊の正体は?
過去と現在と未来の幽霊の正体は、多分、神様的な?多分。
クリスマスの神様的な感じですよね。
客観的に自分の人生を見つめ直す機会などそうそうないけど、見るとわかることがたくさんありますよね。
神様じゃなければ、きっと、幽霊の正体はスクルージの「良心」なのかなって思いました。
スクルージ自身も、周囲の人々に愛情を注いで生きたい気持ちが、心の片隅にあったんでしょうね。
マーレイの幽霊なんできた
私は、こんなスクルージを救いに来たのが、同じく業突く張りの老人だったマーレイという点が印象的でした。
過去、現在、未来の幽霊たちは、クリスマスの奇跡…神様のはからいだと感じますが、一番最初に現れたのはマーレイです。
マーレイに関しては冒頭で「確かに死んだ」とだけ書かれていますが、死後に鎖で縛られていたことから、業突く張りの守銭奴だったと思われます。
そしてスクルージに、「お前も心を入れ替えないと、俺みたいになるぞ」と言いに来てくれたんです。
で、クリスマスカロルを最後まで読むと、マーレイの存在だけハンパなんですよ。
「このキャラいるか?」的な・・。
「マーレイ登場しなくてもよくない?」的な。
マーレイは物語の冒頭に、スクルージの仕事仲間で「死んだ」と強調されて、物語の主要人物かと思いきや、読み終わってみるとそうでもありませんでした。
出てこなくても物語が成り立つ人物。
じゃあ何で出てきたん?
と思っちゃうんですよ。
マーレイは冒頭に少しと、夜に幽霊として出てきて、「改心しないとお前も死後、腐りじゃらじゃらになっちゃうぜ」と忠告にきます。
マーレイとスクルージがどれほどの親友だったのかはわかりませんが、そんな忠告くれるならよほどの親友だったのかもしれません。
しかも、2人の共同経営の会社が順調だったことからも、2人の信頼関係は強固だったと思われます。
かなり同じ価値観で生きてたんだろうと思います。
つまり、マーレイもスクルージと同じように、救われるべき人だったのかもしれません。
スクルージが救われたことで、マーレイの幽霊もまた、何かしらの恩恵を受けるよう、願ってしまいますね。
「お金」と「幸せ」
お金がありすぎても人を幸せにしないことは、マーレイやスクルージの生き方を見ても明白です。
そして、お金がないことも、不幸をもたらします。
ありすぎるお金を恵まれない人に捧げることで、どちらの立場の人も心の平安を得られるという、心温まるお話ですね。
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薄い本なので、20分ほどで読めちゃいますよ。
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